親御さんたちに電話しまわって延期してもらった修了式当日にせっせと通知表を作っているのだから、「木曜にやってもおなじじゃないか!」というツッコミも心の中にしまって、通知表にはんこ押したりコメント書いたりしました。
私は学期途中の3月に帰国。もう親御さんにお会いする機会もないということで、5分ぐらいのスピーチをさせてもらった。子供たちは頑張って勉強した。褒めてやって欲しいなんて、今考えると偉そうなことを言ったと思う。でも子供にとって親に認められることこそ大切だとも思う。なぜなら、この国では子供の人数は多い。そしてひとりひとりの命の重要性(「重さ」ではない)も軽んじられがちだからだ。
さて、気になる子供たちの成績。私が一年担当したP3の算数の平均点は51点だった。2学期から3点上昇した。3学期の単元内容から下がることを予想していた私は、いい意味で驚いた。
やっぱり四則演算と九九の暗記。これができて初めて「算数」に取り組むことができる。P3全員が九九の暗記をできたわけではなく、9×9まで覚えたのはわずか3人。「日本の小学生はみんな覚えている」と思うかもしれないが、それは九九をリズムで覚えることができるから。
ニニンガシ・ニサンガロク・ニシガハチ・・・と。
英語もしくはルガンダにリズムで覚えるような方法が取れないのが残念だ。それでも「トゥートゥーフォー」とか「シックスシックスサーティシックス」というふうに可能な限りリズムを意識した。
他には分数を今学期は教えた。1/2と1/3では1/3の方が大きいと思っている子供たちの前提を壊して「割合」の概念を掴ませるのに苦労した。そこで使ったのが、卵ケース。日本の小学校だとケーキを使って説明したりするけれど、「ケーキ」なんて見たことのない子供達だ。彼らが手にとったことのある、みたことのあるものでなければ教材になりえない。ウガンダには(日本もそうだっけ?)6個入りのパックと10個入りのパックがあるのだが、6個入パックに丸めた新瓶氏を詰めながら「6個卵が収まるケースに、今5個卵が入ってるよね?」「さぁ、これを分数で表すと?」
5/6
6/6
「そう。そしてケースがいっぱいになった。これが1。」
6/6=1
といった進め方で、分数の概念に触れてもらう。そして通分に移っていく。通分では5/10=3/6と説明しないと行けない。ここでも卵パックの出番。(ただ、失敗したのが「割合」の概念なのに実際には卵の数が別なこと。ここは課題として残った。)この説明が不十分なところで学期末テストが始まってしまった。何やらHIV/AIDS関連へのドナーとなってもらっているNGOへのアカウンタビリティレポートを作らないといけない+そこのスタッフが訪問するというので、準備やらなにやらで1週間ほど授業がストップするのだから、なんとも本末転倒というか、どっち向いて仕事してるのやら。と思いつつ、お金を持ってなんぼだから仕方ないか。とも思ってみたり。
それでも嬉しい質問をもらった。ウガンダ人の先生では子供たちは絶対にしないだろう質問。
授業はただ受けるものとしてベンチに座っていた彼らから両方向の授業ができていると実感した質問。
クラスで一番できるグループの一人、イスラムが「先生、5/10と3/6。分母の数字が全然違うのに何でイコールなの?」と。